55年の記憶を描きなおす
- bigeva0
- Apr 23
- 3 min read
学生時代の反戦ポスターから今へ
最近の絵画活動だけでなく、自分の原点を振り返るために、学生時代に描いた反戦ポスターをアーカイブしました。55年前の作品が、今の世界にも問いを投げかけている気がしています。
このたび、自身のウェブサイトに /study セクションを新設しました。ここでは、近年の作品だけでなく、自分が「なぜ描き始めたのか」に立ち返るような過去の記録を紹介しています。
当時の私は、必ずしも最初から社会的な問題に向き合っていたわけではありません。むしろ初めは、ホームシックになったときに思い浮かべた故郷の風景や、高校時代に流行していた「ブルーシャトー」のメロディといった、個人的な郷愁や夢の記憶を絵にしていました。
そうした中で、やがてキャンパスの周囲に満ちていた反戦の声と向き合うようになり、私の作品にも、次第に「メッセージを伝える」意識が芽生えていきました。
『ブルーシャトー Reimagined』は、そんな私自身の内面の始まりを象徴する一枚として、/study セクションの冒頭に展示しています。
特に印象に残っているのが、1970年春、ちょうど55年前に描いた反戦ポスターです。寮で絵を描いていた私の元に、友人が「ワシントンD.C.でのベトナム戦争反対デモに使いたい」と声をかけ、3枚のポスターを制作しました。
Would You Buy a Used War?
→ 当時のニクソン大統領を皮肉った風刺画
We Are Not on Earth to Kill Mankind
→ 「人類を殺すために私たちは地球にいるのではない」というメッセージ
The World Is Waiting for Peace
→ 未来を見つめるような、静かな希望を込めた一枚
また、依頼されたものではありませんが、当時流行していたビートルズの “Something” を引用したポスターも描きました。Something Is Happening という作品で、私が敬愛していたジョージ・ハリスンとジミ・ヘンドリクスを描き、音楽の力で社会への問いを投げかけました。
あの頃の自分は、「表現することで何かが変わる」と信じていました。
Love & Peace 1970
→ 平和への願いと反戦の意思を込めたタイトル作品
そして55年後の今、世界が再び混迷と暴力の中にあると感じるとき、これらのポスターが再び声を持ち始めているように思うのです。
そして2022年、私はこの「Love & Peace」というテーマに再び向き合い、ペイント壁画作品 Love & Peace 2022 を制作しました。この作品は、**大分県・九重町にあるアート拠点「NoriArts & Village」**の建屋の一面に、友人たちのサポートを受けながら描いたものです。あの頃の叫びと、今の祈りをつなぐ試みであり、自分の表現が55年の歳月を経てなお続いていることを実感させてくれる一作です。
55年が経った今もなお、私たち人類は過ちから学びきれていないのではないか——。そんな思いが、あの時描いたポスターたちに再び筆を取らせてくれたのかもしれません。
このセクションは、私自身の原点を見つめ直し、今後の表現に繋げるための記録です。よろしければ、ぜひご覧ください。
📝 備考:
※「NoriArts & Village」は、現在日本を拠点に活動しているノリQ氏が構築した芸術村で、彼が主催していたカリフォルニア美術倶楽部には、私もアメリカ在住メンバーの一人として参加し続けています。現在は、彼の帰国後も、アメリカに残った仲間たちとともに、ゆるやかにその活動を続けています。
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